旨みが重なる、至福の味わい。
冬だけの贅沢、蟹釜めし

迷いと発見の日々

この冬の釜めし「冬彩」は、簡単には生まれませんでした。

最初は鴨がメインの予定でした。しかし、秋の釜めしで鴨を使ったため、使えなくなってしまいました。豚のもつ煮、魚（タラ）も検討しましたが、見た目が茶色く、華やかさに欠ける…。

悩んだ末、辿り着いたのが「蟹」でした。

蟹をメインに据えることが決まった瞬間、すべてがバチッと決まり始めました。

「すべては蟹を引き立てるため」という哲学

メインが蟹と決まってからは、「蟹を最高に美味しく食べていただくための脇役」を一つ一つ吟味していきました。

• 蟹に合う出汁のブレンド
• 蟹の味を壊さない食材選び
• 白い冬のイメージを表現する色合い
• 360度どこから見ても美しい盛り付け

「豪華なのに軽やか」という矛盾の実現

開発で最も苦労したのは、「見た目は豪華、でも食後は軽やか」という矛盾の実現でした。

蟹の爪、10種の具材、たっぷりのご飯。見た目は確かに豪華です。でも、食べ終わった後は「あれ？もう終わっちゃった？」という軽やかな食後感。

その秘密は、一つ一つの具材の繊細な味付けにあります。二番出汁を使い、味を強く出しすぎないようバランスを取る。煮浸しの時間を短くして、しょっぱくならず色も変わらないよう調整。すべてが計算され、調和された結果、「気づいたら食べ終わっている」という不思議な体験が生まれたのです。

家族の反応が、最終テスト

開発スタッフには、4歳と3歳のお子さんがいます。試作品は必ず家に持ち帰り、家族で食べてみて、子供が気に入ればそのまま採用するという流れで開発を進めてきました。