秋月誕生物語
季節を釜めしで表現する。
荻野屋が挑んだ新たな挑戦。
プレミアム釜めし「秋月」開発の舞台裏。
荻野屋が挑んだ新たな挑戦。
プレミアム釜めし「秋月」開発の舞台裏。
新たな挑戦の始まり
2020年からのコロナ禍を経て、荻野屋は新たな一歩を踏み出す決意をしました。お客様の来店を待つ受け身の姿勢から、より積極的に価値ある商品をお届けする体制へ。その象徴となるのが、このプレミアム釜めしシリーズの開発でした。
開発は決してゼロベースではありませんでした。荻野屋には長年培われた貴重な開発ノウハウが存在していたのです。ただし、その多くは個人の記憶や紙の記録として散在していました。開発チームはこれらの情報を一つひとつ丁寧に掘り起こし、関係者へのヒアリングを重ね、現代の技術と融合させてレシピを再構築していきました。
今季の秋の釜めしは、2018年の商品をベースに開発を進めました。夏の釜めしでは初めて川魚の鮎をメインにした商品も開発するなど、季節ごとの特色を活かした商品展開を実現しています。
「プレミアム釜めし」の定義
素材一つひとつを一口で味わえるサイズにカットし、定価に対する適正な原価で、購買していただくだけの価値がある商品。これが荻野屋のお客様と商品に対する一貫した姿勢の原点です。
職人技が織りなす秋の味覚
秋の釜めしに使用する具材は、季節感を大切にして選定されました。歴代の釜めし資料を参考にしながら、どのような見た目に仕上げるかという観点から開発がスタートしました。
開発において最も困難だったのは、実は具材の組み合わせではなく、見た目の美しさでした。360度全方位から見て美しく、食欲をそそる盛り付け。この理想を実現するため、開発チームは何度も試作を重ねました。
各具材には、それぞれ特別な調理法が施されています。ねぎには隠し包丁を入れて味が染み込むように工夫し、調理過程で曲がらないように試行錯誤を重ねました。栗は茹でてからバーナーで焼き目をつけることで、香ばしさを演出。このバーナー技術は、夏の釜めしの鮎に焼き目をつける際に使用したものを応用しています。
かぼちゃの煮物は椎茸の味付けを参考に優しい味わいに仕上げ、きのこ類は湖畔の釜めしの具材調理を応用した揚げ浸しで深い味わいを実現しました。そして土台となる栗ご飯には、餅米を1割使用してバランスを調整。おこわまでいかない絶妙な食感で、秋の釜めし全体をしっかりと支えています。
技術の結集
料理長と開発チームの連携により、鴨、ねぎ、栗、きのこなど各具材で個別の調理方法を用いた手の込んだ調理を実現。これらの技術が一つの釜めしに結集することは、まさに特別な技術の集大成といえます。
伝統を守り、革新に挑む
荻野屋のブランドを守りながら新しい価値を創造する。この開発において最も意識されたのは、一つひとつの食材の味を最大限に活かすことでした。味を最優先に、そして見た目の美しさも追求する。この両立こそが、開発チームの挑戦でした。
当初は鴨の代わりに信州サーモンを予定していましたが、身が崩れやすく盛り付けが困難なため変更となりました。試作は4回目で完成。夏の釜めしは1回、春も企画が固まっていたためスムーズでしたが、秋は見た目の美しさにこだわったため、より多くの時間をかけて開発を進めました。
諏訪の製造チームの強みは、その柔軟性と機動力にあります。新しい取り組みに対して臨機応変に対応し、実践していける体制。まさに新商品開発にうってつけのチームワークが、この特別な釜めしを生み出しました。
お客様への想い
見た目からも、香りからも、そして口に運んだ瞬間にも「秋」を感じていただける釜めし。お出かけで紅葉を楽しむ際に、特に栗の深い味わいをじっくりとお楽しみいただきたい。そんな想いを込めて開発されました。
それぞれの具材の個性を大切にした釜めしですので、一つずつじっくりと味わっていただくのがおすすめです。舞茸のお味噌汁など、きのこの汁物と一緒に召し上がると、秋の滋味をより深く感じていただけます。
季節と共に歩む未来へ
春夏秋冬の釜めしは、確かに手間がかかります。しかし、これは荻野屋がかねてから挑戦したかった企画でした。四季それぞれの美味しさを釜めしで表現し、お客様に特別な体験をお届けする。これが新たな使命となっています。
2025年に開発した春・夏・秋・冬の釜めしは、2026年以降も継続的にアップデートしていく予定です。当初は峠の釜めしは旅行先でのお買い求めに価値があると考えていましたが、ECでの需要があることがわかり、新たな場所で釜めしをお届けすることにも積極的に取り組んでいます。
ECの拡大と事業の成長を図るため、設備の見直しと冷蔵・冷凍設備の拡充も進めています。冬の釜めしは、カニを主軸に据えた冬のカニ鍋をイメージした釜めしを企画しています。上からも下からも、カニとお出汁とご飯の美味しさが感じられる釜めしを企画中です。楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。
商品開発責任者より
荻野屋の商品開発チームを率いて、四季を表現するプレミアム釜めしシリーズの開発を手がけています。歴代の開発資料を現代に活かし、伝統と革新を融合させた新しい釜めし文化の創造。お客様に特別な価値をお届けすることを使命として、日々開発に取り組んでいます。
